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カッター替刃について

写真はオルファのステンレス刃です。

フィルム職人は、施工時にカッターを頻繁に折り交換しますので、自分のお気に入りのものを持っているものです。それで今回は、このカッターの替刃について考察してみたいと思います。

 

カッターの替刃の素材は、炭素工具鋼(SK材)というもので出来ています。その中でも、2番目に炭素量が多く硬い SK120 (旧SK2) という鋼材を多くの場合使っています。炭素を混ぜて硬度を出しますが、その量が多いと強さと硬度が増加します。ちなみにノコギリ刃は、炭素量が比較的少ないSK5だそうです。この鋼材の弱点は錆に弱いというものです。どおりで、よく錆びるはずです。

 

この錆びやすいという欠点を補っているのが、ステンレス刃というものです。SK材に比べると大変高価になります。(1枚40円ほど)ちなみにSK材の一般的な替刃は、1枚10円ほどです。このステンレス刃は、多くの場合ハイカーボンステンレスという素材(包丁などでよく聞くことがあります)を使ってステンレスの中では硬度が高いものになります。それで、SK材よりは錆びに強いですが、ステンレスの中では錆やすいようです。ここからが重要ですが、それでもSK材(炭素鋼)ほど硬度は高くありません。つまり柔らかいという事です。

 

素材の話をしましたが、ここからは、では、何がフィルム施工に向いているのかという話です。

 

フィルム施工で使う場合、ガラス上でのカットの場面が多いので、ガラスを傷つけない刃が理想的です。特にガラスの端をクリアランスを設けてカットすることや頻度は多くないものの幅の広いガラスでなおかつ日射調整フィルムの場合重ね切りという方法をとり、2枚まとめてカットするときにはガラスに傷が付かないように力加減に気を遣います。そのような時には、特にカッターの刃の硬度が高くない柔らかい刃でカットできるのが理想です。それは、素材から言うとステンレス刃になります。現にステンレス刃の中には、フィルム専用とか先程書いたような用途で使うことが勧められているものがあります。(NTカッタ―のステンレス刃)

あるブログ記事には、カッターの替刃の硬度を独自に測った記事がありましたが、それによりますと、NTカッターのステンレス刃が、54HR、オルファのステンレス刃が、55.5HR(共にロックウェル硬さ)とありました。NTの方が柔らかいという事です。

 

NTカッターのステンレス刃についてのメーカーの特集記事がありましたので合わせて目を通されると良いです。

 

それで、理想的にはNTカッターのステンレス刃を使うと良いのですけれども、問題は値段です。はっきり言って高いです。(4倍です)それで、重ね切りなどの時だけ使おうかと思っています。

 

炭素鋼の替刃は、ステンレス刃よりは硬いからと言って普通に使っていてガラスを傷つけてしまうことはありません。要はちょうど良い力加減でフィルムをカットするかの問題です。柔らかい刃を使って切って2度切りしてしまうようでは元も子もありません。

写真は、NTカッターのスタンダード刃です。

 

今後さらなるカッター刃の考察も考えています。

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