フィルムの防虫効果に関してお問い合わせをいただくことがあります。防犯フィルムや遮熱フィルムを導入することを検討する時に、どうせなら防虫効果もあるフィルムを貼りたいと考えられるわけです。賢い考えだと思います。では、そもそもフィルムが持つ防虫効果とはどのようなものなのでしょうか?
主に窓ガラスフィルムが持つ防虫効果は、虫が持つ光に集まる「走光性」という性質を利用したものとなります。(説明を分かりやすくするため、簡潔な表現をこのブログでは用いています)
多くの虫は、人間が見える光の外の紫外線もよく見えています。以下の表をご覧ください。
400nmぐらいが、人が識別できる波長の境です。それより短い波長は、紫外線になります。虫はそこも見えているのです。
上の表の青色の線が人間が識別できる波長域(可視光線)、緑は虫が識別できる波長域を表しています。ずれていることに気が付かれると思います。つまり、多くの虫は紫外線も見えていて、その光に向かって飛んでいく性質があるわけです。特に夜は、太陽の光はありませんので、人工的な電灯の発する紫外線に集まるのです。これは、紫外線を多く発する水銀灯に多くの虫が集まることからも分かります。また、最近は蛍光灯などの電灯からLEDの電灯に置き換わりが進んでいますが、LED照明のもとにはあまり虫が集まっていないことに気づかれておられる方もいらっしゃると思います。これは、多くのLEDが紫外線をほとんど発しないことによります。
そこで、フィルムの効果ですが、多くのフィルムは紫外線をカットする機能が備わっています。カタログデーターでは、多くが99%カットとなっています。お家の窓ガラスにフィルムを貼りますと、家の中の電灯の光の中の紫外線を外に出さない効果がありますので、虫がよってきづらくなるということです。
参考までに、右の表は、人と虫の識別波長領域とフィルムがカットする(透明フィルム)領域を重ねた表になります。赤色のフィルムの領域が虫が見える(橙色のピーク)領域とが重なりカットしていることがわかります。また、窓ガラスだけでは、あまりカットされていないことも示されています。
では、窓ガラスフィルムであればどのフィルムでも同じような効果を期待できるのでしょうか?
答えは、2つの理由から NO です。
まず、多くのフィルムが紫外線をカットするので一定の効果を期待できるものの、製品によってカットできる波長領域等に違いがあるのです。その点、3M の製品の多くは工夫と検証がなされて、高い防虫性能が証明された製品には、わかりやすく表示がなされています。具体的には、各種のNANO、防犯フィルム、ピュアリフレ等にはカタログに防虫マークが付けられてわかるようになっております。
それで、例えば防犯フィルムを貼りたいが、防虫効果もあったら尚良いという場合、3Mの防犯フィルムシリーズにするとよいという事になります。(SH15CLAR-A ULTRAS2200 など)
2つ目は、この防虫効果は虫の持つ「走光性」を利用しているので、「走光性」がない虫には効かないということです。具体的には、蛾やハエ、カメムシ、トビゲラ、ユスリカ等には効きますが、ハチや蚊には「走光性」がないので効きません。
しかし、一部の製品には、虫が嫌う薬剤をフィルムに練り込んで紫外線に反応しない虫にも効果を示しているものもあります。製品名 サンゲツ ムシアウェイ。
フィルムによる防虫効果に関しても、お気軽にご相談ください。